長い長いお医者さんのつぶやきブログ~医学と医療の回想~

思いつくまま気の向くまま,医学,医療に関するちょっとした事柄を末端医者の立場から気軽に発信出来たらいいなと思い,一念発起してブログを立ち上げました。煌びやかではありませんが,よろしければお付き合い下さいませ。

シラミ症3 ケジラミ症

第106回 シラミ症3 ケジラミ症


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<ケジラミ症>
 ケジラミは「毛」と言っても,特に陰毛を好みます。よって,ケジラミ症は性感染症の一つに挙げられています。陰部同士の直接接触によりケジラミが感染します。不特定多数のパートナーとの性行為により蔓延します。但し,家族間感染で小児にケジラミ症が見られることもありますので,全例が性感染症というわけではありません。ケジラミは陰毛の他,外陰部・肛門周囲の体毛,頭髪,眉毛,睫毛,腋毛,胸毛などにも拡がって寄生することがあります。毛の根元側に褐色調の虫卵が固着します。ケジラミ症の発見動機は,陰部の激しい痒みの他に,下着に茶色い粉(ケジラミの褐色調の糞=吸血後の古くなった血液)が付着していることに気付いたという場合もあります。ケジラミによって媒介される危険な感染症は確認されていません。
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(出典:Pediculosis

 治療はアタマジラミ症と基本方針は同じですが,ケジラミ症の発症部位は頭髪と異なって毛の密度が低い部分が多いですし,着衣を脱がない限り人目に付く場所でもありませんので,可能な部位は剃毛がよいかもしれません。他に,フェノトリン含有シャンプーやパウダー,すき櫛の使用も考えられます。着衣,寝具(枕カバー,シーツ),タオルなど身体に触れるものの共用は避けましょう。室内清掃の他,熱処理を伴う洗濯も検討して下さい。性行為のパートナーにもケジラミ症について警告して下さい。

 ケジラミ症だけでは医療機関に受診しない場合があるかもしれませんが,ケジラミ症の問題は他の性感染症にも罹っていないかということでしょう。性病科,産婦人科泌尿器科,皮膚科などへの受診も御検討下さい。

 以下は,第104回,第105回ででも述べたシラミ症に関するホームページの代表例です。御興味がありましたら御一読いただければと存じます。
IASR シラミ症
・日本性感染症学会 ケジラミ症
MSDマニュアルプロフェッショナル版 シラミ症

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