長い長いお医者さんのつぶやきブログ~医学と医療の回想~

思いつくまま気の向くまま,医学,医療に関するちょっとした事柄を末端医者の立場から気軽に発信出来たらいいなと思い,一念発起してブログを立ち上げました。煌びやかではありませんが,よろしければお付き合い下さいませ。

2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

あっと驚かせる患者さん

第37回 あっと驚かせる患者さん 人は千差万別で生き方も自由ですが,それにしても,受診される患者さんの中には医療関係者をあっと驚かせるような方がおられます。単に事故や無理解ってこともありますが,奇想天外というか無謀というかとんでもない場合も…

日本における外国人医師

第36回 日本における外国人医師 医師免許は医学部医学科を卒業し,医師国家試験に合格し,厚生労働省の医籍登録を経て交付されるものですが,実は,日本国籍を有する人が日本の医学部医学科を卒業し,日本の医師国家試験に合格するという「日本」という言…

いいお医者さん紹介して~

第35回 いいお医者さん紹介して~ 何かあると,家族や親戚,友人,職員などから「いいお医者さん紹介して~」と気軽に言われます。医師だからよく知っているだろう,知り合いだから気軽に聞けてラッキー,というところでしょうか・・・。 「いいお医者さん…

病院は汚い?

第34回 病院は汚い? 私が子供の頃,両親や祖父母から「病院は汚いところだから」としばしば言われたものです。両親,祖父母ともに医療関係者ではなかったので単に感覚的な発言ですが,皆様はそんなこと言われたことはありませんか?今の医療機関は正面玄…

病院で毒物?劇物?

第33回 病院で毒物?劇物? 第32回では毒薬,劇薬について触れさせていただきましたが,これはあくまで医薬品の一部であり,ヒトに投与できるものであって,薬機法(旧薬事法)の規制下です。一方,毒物,劇物とよばれるものは,医薬品や医薬品外部には…

毒薬!劇薬?

第32回 毒薬!劇薬? 医療機関に受診して処方された薬や入院中に使われる薬について医師や薬剤師から口頭で説明を受けるのは,通常,薬効と副作用ですね。薬局から薬を受け取る際には成分や剤形,薬効,副作用,値段などを記載した処方薬の一覧もいただく…

ネクロプシーとは?

第32回 ネクロプシーとは? 医師の方かな?私のブログで御検索をいただいたようですので,今回はネクロプシーについてお話しさせていただきます。確かに,GoogleやBingの検索エンジンでネクロプシーを検索してみたら,あまり記事が出て来ませんね・・・。 …

子供の薬

第31回 子供の薬 保育所,幼稚園頃の子供たちは何かとすぐに熱を出すため,親がそれに振り回されしばしば小児科医院を受診することになるものです。御多分に漏れず我が娘たちもそうでした。単なる感冒もあれば,突発性発疹やヘルパンギーナのような特徴的…

学校医

第30回 学校医 もう20年近く前になりますが,ある山間地の診療所で勤務していた時に,その地域の幼稚園,小学校,中学校の学校医をさせていただいたことがあります。また,学校医に任命されていたわけではありませんが,地域医療支援病院に勤務していた時…

ニセ医者

第29回 ニセ医者 医師免許を持たないのに医行為(医業)を行えば,それはニセ医者であって医師法違反で逮捕されるに決まっています。また,いくら正式な医師が管理者の医院の中でも無資格者に対して医行為(医業)をさせれば(ニセ医者として働かせれば)…

医師と白衣

第28回 医師と白衣 インターネットで医師を検索してみたら,下にワイシャツを着てネクタイを締め上に長袖の長い白衣を着,襟巻の様に首に聴診器をかけて,眼鏡をかけているという男性医師のイラストをよく目にします。確かに今まで医師は圧倒的に男性が多…

医師は皆「長」??

第27回 医師は皆「長」?? パラメディカル,すなわち,看護師や薬剤師,臨床検査技師,診療放射線技師,理学療法士など医師以外の国家資格を有する医療関係者は,法律上,医師の指示・監督がなければそれぞれの業務を遂行することは出来ませんので,そう…

医師に定年はありません

第26回 医師に定年はありません 世の中では定年延長とか年金支給年齢繰り上げとか言われ,走っても走ってもゴールラインがどんどん遠くなるような印象を受けてしまいますが,自分はいったい何歳まで働かなければならないのかと思うと不安に陥りますね~。 …

医師の加入する団体:学会と医師会

第25回 医師の加入する団体:学会と医師会 ほとんどの医師は学術的,専門的,あるいは実用面で関係する学会の会員になっていると思います。例えば,呼吸器内科医でしたら,少なくとも日本内科学会,日本呼吸器学会に加入しているはずです。特に臨床医は,…

医学部の偏差値は正しい評価か?

第24回 医学部の偏差値は正しい評価か? 大手の予備校などが毎年,学部別,学科別に大学偏差値情報を発表しています。確かに見るだけなら面白く,週刊誌のランキングネタにもなりますが,受験生の皆さんはどの位参考になさっているのでしょうか。 本来は偏…

解剖に対する誤解

第23回 解剖に対する誤解 第22回では解剖の種類についてご紹介させていただきましたが,解剖を行えば死因をはじめ何でも分かるというものではないことを御理解いただければと思います。(ここでは医学生の解剖学実習である系統解剖と法医学教室による司…

解剖の種類

第22回 解剖の種類 「人体解剖」と言ってもその目的によっていくつかの種類に分けられます。 医学部医学科で教養課程から医学専門課程に移行しますと,おそらく最初に解剖学(人体解剖学,肉眼解剖学)を学びますが,その実習として行われるのが「系統解剖…

医師への行政処分

第21回 医師への行政処分 罪を犯せば当然処罰を受けますが,その方法として刑事罰(裁判所)や行政処分(国や自治体)があり,また被害者からの民事訴訟(損害賠償など)や社会的制裁(懲戒解雇など)も考えられます。一般に,刑事罰の対象になった案件で…

医師免許と相対的欠落事由

第20回 医師免許と相対的欠落事由 医学部医学科を卒業後医師国家試験に合格し厚生労働省に申請すれば,医籍登録後医師免許証が交付されると今まで簡単に言って来ましたが,その大前提は「欠落事由がない」ということを忘れてはなりません。 医師法では, …

奨学制度の一考

第19回 奨学制度の一考 第16回でお金がないけど医師になりたい時は特殊3大学(防衛医科大学校,自治医科大学,産業医科大学)や各大学の地域枠,自治体の奨学金制度があるということに触れました。世帯収入の制限はなかったはずでもちろんお金があっても受…

医師と歯科医師の重複業務

第18回 医師と歯科医師の重複業務 「医師と歯科医師の違いって何ですか?」,「医師免許は歯科医師免許を兼ねる(含む)のか?」というやりとりをインターネットで少なからず読んだことがあります。全身を診る医師と歯を診る医師の違いでしょう,など言葉…

卒後すぐは何も・・・

第17回 卒後すぐは何も・・・ 一般的には,医学部医学科を卒業したら医師をしてすぐ働くことが出来る,あるいはそれなりに勉強して卒業してくるのだから一人前でないにしてもそこそこは出来るだろうと思われているかもしれませんが,絶対と言って良い位無…

どこの医学部に入る?

第16回 どこの医学部に入る? 医学部医学科のいわゆる偏差値は,最近の人気でとんでもなく高いです。 しかし,どこの医学部に入るおつもりですか? 全国どこでも良いからとにかく医学部医学科に合格したいという方もおられるでしょうし,うちはお金がない…

医師免許に加えて必要な資格3

第15回 医師免許に加えて必要な資格3 第13回,第14回に引き続きます。長いですが,それだけ医師免許に加えて業務上必要な資格がこんなにもあるのだということを御理解いただければ幸いです。 「身体障害者福祉法第15条の規定に基づく指定医」という資…

医師免許に加えて必要な資格2

第14回 医師免許に加えて必要な資格2 第13回に引き続きます。医師免許に加えて必要な資格はまだあります。 産婦人科の医師にとって「母体保護指定医」という資格があります。都道府県医師会によって指定された,不妊手術や人工妊娠中絶手術を実施するこ…

医師免許に加えて必要な資格1

第13回 医師免許に加えて必要な資格1 実地医療の現場では医師免許を持っていたら医師の裁量で何をしても良いというわけではありません。試験があるわけではないものの,業務上,公的機関に申請して登録や免許,許可をもらわないといけない資格がいくつか…

医師免許

第12回 医師免許 医師は医師免許を持っているのは分かるけど,どんな免許証って思いませんか?医学部医学科を卒業するまでは,写真入りの運転免許証みたいなのがあるのかなあと思っていました。全然そんなことはありません。頭に菊の御紋の入った表彰状の…

医学博士

第11回 医学博士 例えば,どこかの医院の看板・広告で「院長△△△△,医学博士,~~~専門医」なんて書いてあるのを見かけたことはありませんか?その医学博士のことです。 医師は医学部医学科を卒業し医師国家試験に合格して医師免許を取得しますが,それだ…

医師の活躍する分野

第10回 医師の活躍する分野 医師と言われると,住まいの周りにある病院・医院で診察してくれる臨床医をイメージされますよね。白衣を着て(眼鏡をかけて),聴診器や打腱器,額帯鏡をもって,レントゲンをう~んと読影して,カルテを外国語で書いてと。私…

専門医研修

第9回 専門医研修 初期研修終了後,多くの医師は希望する診療科の専門医になるために後期研修に入って行くと思います。ここからは専攻医,あるいは後期研修医と呼ばれます。診療科によりますが,卒後3年目から5~7年目の時期に相当します。この時期から大学…